メインはスカイランニング

スカイランニングという競技をやっています。
トレイルランニングは横方向の動きが大きいのに対して、スカイランニングは縦方向への動きが大きいのが特徴です。どれだけ速く登山できるか?!という感じです。スカイランニングは大きく分けて、ほぼ登りのみのバーティカルと登りも下りもあるスカイに分けられて、私はどちらのレースも出ます。スカイランニングはシリーズ戦があって年間ランキングがつくので、その対象レースを中心に、コンディショニングためにトレイルランニングにも出場しています。冬にはSKIMO(山岳スキー)もトレーニングの一環として行っています。
スカイランニングは私にとって好きなことと向いてることが一致した競技だと思ってます。ホントに向いてるかは分からないですが、今までやってきた様々なスポーツのいいとこ取りをした競技かなと思っています。4歳から10年間水泳をやっていて、水泳自体はあまり強い選手にはなれなかったですが、体力のベースはそこで養えたと思っています。

小学校低学年から親にスキーに連れていってもらって、小・中学生の頃はトランポリンもやっていました。トランポリンのバランス感覚等は今に活かされている気がします。高校生の頃は陸上部で400mハードルをやってたので、スピードのベースができたし、障害物を越える動きも学びました。大学生では1年間居候しながら基礎スキーをやって、その後はウルトラマラソンをやっていました。全部無駄なことが無くて、その時は向いてないんじゃないかって思いながらやっていたことも、スカイランニングに繋がっているなって今は思ってます。

競技をやる上での悩みはいろいろありますけど、好きなものに出会える人って少ないのかなって。私自身も大学生の頃には本当にやりたいことが何なのかわからなくて悩んでいたので。その中で心から好きなものに出会えたのはすごく幸せなことだと思います。幼少期を思い返すと、親からやりなさいと言われたものは全くないです。親が仕向けていたことはあるのかもしれませんが(笑)、やりたいと言ったことに対して可能性・選択肢を広げる方向に全部持って行ってくれてたのかなぁって今になって思いますね。私の可能性を広げるように育ててもらったので幸せだと思います。しかも私が大学生の頃にロードを走り出してから親も走りだして、山を始めたら山を始めて、私の志向に親が合わせてくれています。家族とは話が合うので、走ったり自然やスポーツの話をよくしますが、私より他の選手のことを詳しかったりと私より私のしていることに熱中しちゃってますね(笑)

走ることで心をコントロールする

社会人になりたての頃は走ってなくて、東京にいる高校の陸上部の先輩と走る機会があって、そこからランニングの輪が広がりました。山をやっている方から「山はすごく楽しいよ!」って言われて、大阪に比べて山をやる人が多いなって思ってたし、面白そうだからやってみようかなって思ったのがきっかけで、すぐに大会にエントリーしました。

そして、その大会1回で大ハマりしました。実家は大阪の田舎の方なので、自然の中で走るのがすごく気持ち良くて。最初に出たのはトレニックワールド外秩父のミドル(43km)なのですが、元々大学の時からウルトラマラソンをやっていたので長時間走ることには全然抵抗がなくて、単純に楽しさが勝っちゃいました。ランニング自体は大学時代からやっていて、ウルトラマラソンは大学2年の時に初めて出て、その後5年くらいは年に2~3回出ていました。富士五湖、丹後、白川郷、四万十、奥武蔵とか…。趣味でいつも練習しないで出ていたので10時間以上かかっていましたが、完走して達成感が味わえるのが楽しかったです。でも社会人になり、初めての一人暮らしだし、働くのも初めてだし毎日慌ただしくて・・・。心に余裕がなくて1年目は全然走ってなくて、毎日いろいろなことが嫌で泣いちゃうみたいなときがありました。ふと学生の頃は走ってたなって思い出す瞬間があって、走ることで心のコントロールができるかも、どう続けていくかは分からないけどもう1回走らないとダメだなとその時思ったんです。丁度そのタイミングでトレイルランニングと出会ってこれをやるしかないかなって思いました。

割り切るポイントを持つ

今は休みの日は山に行くのが常になってます。仕事は結構忙しくて1日1時間の練習時間を取るのがやっとで、その時間をいかに作るかという感じでスケジューリングしています。コロナが流行していろいろ不便なこともありましたが、睡眠や食事など生活を見直せるきっかけになりました。
仕事と走りを両立するために割り切るポイントを持つことを大切にしています。全部全力でしたいですが、時間も体も有限なので、難しいですよね・・・。例えば、競技として取り組む前までは仕事の関係もあって週に4~5日は飲みに行ってましたが、上を目指すと決めてからは週1回以下にするってルールを決めました。

朝練習して気持ちよく仕事する

ホントは平日に山へ行きたいんですけど、住んでる場所の問題で行けないので、ロードや低酸素室内にあるトレッドミルで練習しています。低酸素は朝7時から1時間くらい走って、シャワーを浴びてダッシュで出社みたいな感じで、常に時間に追われています(笑) 夜は仕事の終わり時間が読めないことも多いという理由もありますが、朝に練習を終えるとスッキリと仕事にも臨めるのでもっぱら朝派です!平日は週末の山での練習を楽しみに乗り切ります(笑)

他人と比較しない

目標は来年の世界選手権で10位以内です。目標と今の自分の間にはギャップがあります。コロナの影響で1年延期になりましたが、このギャップを縮められると前向きに捉えています。むしろ時間が足りないなって思っていたので、私にとってはプラスの延期でした。いろいろ足りないことはありますが、緊急事態宣言で外出できない期間があったので、あまり時間を割けていなかった体幹などベースの部分のトレーニングを取り入れるようにしました。去年から強化してだいぶ良くはなっていますが、上りがまだ弱い自覚があります。疲れにくい上り方とかフォームも気にして練習しています。
あとは小さいころから周りと比べて焦ったりしちゃうタイプなので、意識してあまり比べないようにしています。他の人のレース結果は必要以上に確認しないようにしたり、自分のペースを崩さないよう心がけています。できていないことを一つ一つ着実に潰していくことを大切にしたいですね。他の人と予定が合わないというのもありますが、人と比べて焦らないように練習も一人ですることが多いです。

今はガッツリ追い込むのが楽しい

山へ行くのはトレーニングのためでもあるけど、単純に山の中で体を動かすのが楽しい!という気持ちが大きいかもしれませんね。今は日本代表に選んでいただいて競技をしていますけど、そもそもは山を楽しみたいなという気持ちがベースにあります。もちろん競技で結果を出すためもありますが、山を安全に楽しむためにも体力は必要かなと思います。山の楽しみ方もたくさんあると思うのですが、今はガッツリ追い込んでいるのが楽しいです。
目標が明確なのでそこに近づいている実感があるからだと思います。週末に山へ行ったとき、何でこんなにしんどいことができるのかな?何が楽しいのかな?って考えていたんですけど、日常の中でかかるストレスを解消する方法のひとつとして追い込むことをしているのかなぁって思いました。ストレスとキツイのをぶつけてバーン!って破壊する感じです(笑)。

多分、私の性格では休日にまったりしていても平日のストレスは解消されなくて、そういう意味でも必要なことなんだと思います。走っているときは仕事のことは全く考えないですね。考えながら走る人もいますけど私は空っぽにしちゃいます。競技はまだまだ続けるつもりですけど、例えば年を取って続けられなくなったとしても休日に体を動かす日課は続けている気がします。会社からお給料をもらってるからスカイランニングもできているので、仕事はしっかりやらないといけないと思ってます。営業なので数字がついてきます。そこをやらないと気持ちよく山へ行けないので頑張ります(笑)

日焼け止めは絶対に塗る

ありがたいことに昨年からメーカーさんにサポートしていただけることが多くなりました。いまはサロモン、アスリチューン、レキ(ポール)、キャラバン、スマッシュウォーター(凌駕)、アグレッシブデザインです。アスリチューンはグレープが好きです。ホントに動かない時は2本飲みしたりします。眠い時はカフェイン入りのコーヒー味を飲みます。効果を結構すぐ感じますね。青は練習終わりに飲んでます。あと、二日酔い防止に効きますよ!この使い方はスポーツしていない人にも伝えたい(笑)

自粛期間中にアスリチューンの社長の三上さんにオンラインで製品のことや使い方などをレクチャーしてもらいました。だから効くんだなぁって納得できる話がたくさんでしたね。アグレッシブデザインは去年からサポートしてもらいましたが、以前から落ちにくいことは実感していたので使ってました。先日、手が届かなかった背中の一部分だけ塗り忘れて、そこだけ真っ赤に日焼けしてて、そういう時に守られてるんだなぁって感じます。塗るのが当たり前なので塗らない時との比較が今はできなくて塗り忘れの時に感じます。塗ってないと不安で仕方ないです。あと日焼け止めリップがめっちゃいいです!山岳スキーもするのですが、特に雪の上では照り返しがすごいので、塗り忘れると赤く腫れちゃってたらこ唇みたいになっちゃうので必ず塗ります。ザックにも入れて持ち歩いていますね。

楽しさしかアップしない

SNSを活用しているんですけど、そこでは極力楽しさしかアップしないようにしています。楽しさにも色々種類があるじゃないですか。きつさも楽しいときがあるし。なので、楽しさの種類にはこだわらないですが、後ろ向きな内容はカットして(笑)、「楽しさ」だけが伝わるようには気をつけてます。
SNSはマメにアップしています。このスポーツに出会えて毎日前向きに過ごせていて、出会えてホントに良かったなと思えています。もちろんスカイランニングやトレイルランニングが全てじゃないのですが、私はこのスポーツを好きと思えた。だから、まだ出会ってなくても楽しい!好き!と思える人がもっといるかもしれない。だから「楽しさ」にフォーカスして伝えていけたら良いなと思っています。

生涯スポーツとしてスカイランニングの魅力を伝えたい

もちろん自分が競技で結果を出すのはやりたいことなのですが、私なりに「楽しさ」を伝えたいという気持ちはずっとあります。高校生のころから「生涯スポーツ」を勉強したいと思っていて、大学もその視点で生涯スポーツを学べる学科を選びました。スポーツ自体、人生を豊かにしてくれるものだなと思っていて、その中でも自然の中で体を動かすと「自分の悩みとかってちっぽけだな」と前向きになれる気がしています。そんなスポーツのひとつであるスカイランニングやトレイルランニングに私自身すごく魅力を感じてるので魅力を伝えていきたいです。コースや天候によって景色も変わるし、競技とは違う方向にも楽しみやすいのかな。楽しみ方を変えてずっと楽しめるスポーツだなと。だから山で遊ぶことはずっと続けられるなってイメージがあります。個人的にはみんなが生活の中にスポーツという要素と取り入れながらずーっと続けていくのが大切っていうのがそもそもの考え方なので、生涯スポーツの選択肢のひとつとしてスカイランニング・トレイルランニングを取り入れてもらいたいなって思います。

Profile - 上田 絢加

2020日本選手権スカイ優勝
2020年世界選手権スカイ日本代表
2019年にはスカイランナージャパンシリーズ年間総合2位、
2019日本選手権で準優勝し2020世界選手権日本代表に選出される。

一般企業に勤めながら競技を両立する、これからの更なる活躍が期待されるスカイランナー。

ページトップ